人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ごめん。

預けていたキーを受け取り、S2000に乗り込みます。

エンジンをかけ、お店の人の誘導で駐車場から路上へ出ると、窓ガラスを下げてお見送りの人に挨拶をします。

「・・・では、よろしくお願いします」

「こちらこそ、お願いします」

ひと言、ふた言挨拶をかわし、S2000のアクセルを踏み込みます。



「そうだ・・・このまま少し、峠まで走りに行こうか」

あたりはうっすらと暗くなって来ていましたが、なんとなく走りたい気分です。そのまま遠回りしていつもの峠で少し走ることにしました。



途中、コンビニでパンを買い、コーヒーで流し込みます。一度その気になったら、少しでも早く走りに行きたいのです。



ふもと近くまで来た時に、幌を開けます。寒いかな・・・と思っていましたが、思っていたよりも気温は低くありません。空が厚い雲に覆われているからでしょうか。

「雨、降るなよ・・・」

そう思いながら、すっかりと暗くなった峠へと入っていきました。



峠に入ってしばらく走ると、周りに誰もいなくなりました。

「よし・・・」

ひとつギアを落とし、軽くアクセルを踏み込みます。

くおぉぉぉぉん。

気持ち良くエンジンが吼えます。さっとシフトアップし、さらに少しアクセルを踏みます。

ゆるいカーブをしっかりとした姿勢でクリアしていきます。抜群の安定感。微塵の不安も感じません。

コーナーの手前でブレーキを踏み、軽くアクセルをあおってシフトダウン。

「すっ」とギアが吸い込まれて行きます。回転が合った所でさっとクラッチを戻すと、何のショックも無いままきれいにつながりました。

「お、ぴったりだ。いい感じ」

上手く行けばスムーズに、そうでない時はそのように、こちらの行動に対してクルマは素早く的確に反応し、そして結果を返してくれます。



「やっぱり、いいクルマだよなぁ」

気が付けばもう、かなり山の中でした。周りにはこのクルマ以外、全く明かりがありません。あっと言う間に多くの距離を走ってしまいます。

「・・・さて、そろそろ引き返すか」

そう思い、減速し、適当な所でUターンをし、そして・・・慈しむようにS2000のハンドルに触れながら、こうつぶやきました。

「・・・ボクスター買ったんだ。ごめん」



ポルシェセンターからの帰り道、峠に寄り道しながら、私はS2000に謝りました。
by akiyuki987 | 2006-04-01 23:57 | クルマ(S2000)
<< やめられない。 それが、好きだから。 >>